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iTOP、世界に広がる口腔ケア予防プログラム
歯科衛生士の杉山です。
10月16日(火)~19日(金)の4日間にわたりタイのバンコクにて行われた、「iTOP Teachers seminar」に参加しました。
「iTOP」とはIndividually Trained Oral Prophylaxisの略で、チェコから世界中に広がりつつある口腔ケア予防プログラムです。
患者さんが生涯健康な歯で過ごすために、一人一人に予防の知識や最適な口腔清掃の器具の選び方、使い方をマンツーマンでトレーニングします。
iTOPのセミナーはこれまでに、北はアイスランド、南は南アフリカ、西はアルゼンチン、東は日本まで、世界45の国で開催されているそうです。

今回の「iTOP Teachers seminar」は、このiTOPのトレーニング方法を歯科医師や歯科衛生士に教える「Teacher」(講師)の認定を取得するためのコースでした。アジア大会という位置付けで、受講生は日本、タイ、韓国、中国、フィリピン、ニュージーランドなどの歯科医師・歯科衛生士が集まりました。
インストラクターは、セルビア・オーストラリア・日本の3人の歯科医師です。
4日間、午前中は講義、午後はマンツーマンの実習で、予防のための知識と技術はもちろん、「人に教える」ための心構えやテクニックを学びました。
インストラクターの講義中、私にとって最も印象的だったのは、「最も大切な治療は、病気にならないようにすることである。歯を削ったり詰めたり抜いたりする前に、まずは十分に時間をとって、その人がこれから先一生口の病気が再発することがないように”予防するための知識と技術を与えること”こそが理想の歯科医療だ」というメッセージです。
これは新百合ヶ丘南歯科がまさに一番大切にし、日々実践していることです。
世界各国で行われているiTOPが理想としている歯科医療を、新百合ヶ丘南歯科の診療システムではすでに実践できているということが、とても嬉しく、誇らしく思いました。
実習は「Touch 2 Teach」と呼ばれます。
個々の患者さんに合ったプラークコントロールのトレーニングを行うには、患者さんと十分コミュニケーションをとって信頼関係を築くこと、一緒にブラッシングをして、お手本を見せたり、患者さんの手を取ってじっくり練習して技術を向上していくということがとても大切だと改めて学びました。
患者さんに正しいプラークコントロールを教えるためには、まず自分自身が正しいプラークコントロールをできるようになる必要がありますが、実は世界各国ほとんどの歯科医師・歯科衛生士が、学校のカリキュラムの中に正しいブラッシングの技術を教わる時間がほぼ無く、自分自身が正しいセルフケアを習った経験がないのです。
そのために、iTOPではインストラクターが私たちにマンツーマンで、歯ブラシ、歯間ブラシ、デンタルフロス、シングルブラシのそれぞれの使い方を丁寧に教えてくださいました。
ここで一番印象的だったことは、「人は時間が経つと、必ずだらけたり、自分のクセが出てくるものだから、リコール(メインテナンス)が最も重要である」というメッセージです。
インストラクターは、「患者さんにとってはもちろん治療が終わった後のリコール(メインテナンス)が重要ですが、私たち医療従事者自身も、ブラッシングのテクニックや教え方は時間が経つと質が落ちてしまうことがあるので、油断せず、常にリコール(メインテナンス)を受けることが必要だ」ということを強調しておられました。
↑実習の様子
ディナーは毎晩参加者全員で集まって、とても楽しく充実した時間を過ごしました。
その際、各国の歯科医師・歯科衛生士に、私が日々撮影している、マイクロスコープを使って拡大しながら歯石を除去したり、歯間ブラシを通したりする動画を見てもらったところ「歯科衛生士がマイクロスコープを使うなんて、初めて見たよ!こんなに繊細に処置ができるなんて素晴らしい!ぜひやってみたい!」と、非常に感激されていました!
そして、当院にて私がマイクロスコープで撮影した、「歯間ブラシの有効性を示す動画」が、世界各国で行われるiTOPのセミナーで使われることになりました。
私自身7年間マイクロスコープを当たり前のように毎日使って診療していますが、これはまだ世界的にはとても珍しいことで、これから世界に発信していくべきことなのだと強く感じました。
↑懇親会にて。私の臨床症例動画に注目が集まりました!

セミナー最終日には「Teacher」として認定されるための試験が行われ、無事合格することができました!
4日間はとても充実していてあっという間でした。
日本だけでなく世界各国の歯科医療従事者と知り合って親睦を深め、ディスカッションできたことは、とても貴重な経験になりました。
素晴らしい経験をさせて頂いたことに感謝しております。
今回このコースに参加し、日本だけではなく世界の予防に関する現状と今後の課題がよくわかりました。
その中で、新百合ヶ丘南歯科では理想的な歯科治療を実践できていると確認することができました。
今回学んだことを活かして、引き続き新百合ヶ丘南歯科に通院してくれる皆さんが一生健康な口で過ごすためのサポートをしていきたいと思います。
また、私たちの行なっている「予防を中心とした診療システム」や「マイクロスコープの活用方法」を多くの歯科医師・歯科衛生士に伝えて、よりたくさんの患者さんが正しい予防の知識と技術を習得できるような環境作りに貢献していきたいと考えています。
帰国の前に、日本から一緒に参加した歯科医師、歯科衛生士、企業の方と一緒にバンコク市内を観光しました。
寺院の見学、チャオプラヤー川のクルージング、ナイトマーケットで可愛い雑貨のショッピングをして、美味しいタイ料理をお腹いっぱい食べて、タイを満喫できました!

